【nana music × 電気通信大学】課題解決型授業の様子 2018・2019
このページでは、2018年度 後期、電気通信大学 先端工学基礎課程(夜間社会人コース)にて開講された課題解決型授業の様子をお伝えします。
今回は、株式会社nana music から 細野 真悟 氏(執行役員/最高執行責任者COO)をお招きして進めた取り組みとなります。
今回の取り組みについては、最終的に全ての授業が終わった後、細野氏から「弊社のサービスを知らなかった人たちに、これだけ考えてもらえる機会は中々ないため、とても有用な機会となった。」と言って頂けるような成果を出すことができ、学生とご協力頂いた企業に双方とって有意義な取り組みとすることができたと感じています。
今回授業にご協力頂いた
株式会社nana music
最高執行責任者COO 細野 真悟 氏
今回授業へご協力頂いた株式会社nana musicとは
それではまずはじめに、今回、授業にご協力頂いた ”株式会社 nana music” について紹介します。
株式会社nana music は、登録ユーザー700万人(2018.11時点)を誇る音楽アプリ”nana“の開発・運営をしている事業会社です。
音楽アプリ”nana”については、公式サイトで以下の説明があります。
※nana:音楽コミュニケーションを楽しめる音楽投稿プラットフォーム。主にスマホアプリを通じて自分の歌や演奏等を投稿し、ソーシャルコミュニケーションを行うなど、10代女子を中心として利用されているサービス
nanaの紹介動画
そして、このnanaというサービスについて、細野氏より今回、課題解決型授業として次のテーマを設定頂きました。
テーマ:
nanaの利用者を増やすためにどうするか?
このテーマについては、サービス運営の根幹に関わる部分である上にテーマとしても抽象度が高いことから、学生たちにとって非常に難易度の高いテーマとなることが予想されましたが、nanaというサービスの発展を考える上で重要なポイントであることは間違いないため、このテーマで進めることにしました。
導入講義
そして、このテーマのもと課題解決型授業を進めるにあたり、はじめに導入講義を行いました。
導入講義というのは、事前情報として nana music 細野氏より、会社やサービスの紹介、さらにはこれまで会社として様々に取り組んできた内容をお話頂いたものとなります。
細野氏によるサービス紹介の様子
デモを交えてアプリを紹介される様子
他にも細野氏が過去の取り組み内容を紹介された中では、数多くの試行錯誤をしてきた結果として複数の失敗もしてきたことまで赤裸々にお話いただけて、学生たちはそうしたリアリティのある話を興味深そうに聞いていました。
続いて、細野氏の話が終わると、学生同士で簡単なディスカッションをしました。
自分たちなりに細野氏の話をどのように解釈したかを学生同士で共有し合い、今後のグループワークの方針などを話し合っていました。
今回テーマとなったサービスがBtoCの学生たちにも身近な音楽に関するサービスであったためか、学生たちは講義後のディスカッションでも大いに盛り上がっていました。
そして、導入講義が終わり、以降の週は次のような流れで進むことになります。
2週に渡るグループワーク → 中間発表
ここからは中間発表の様子をお伝えします。
導入講義で細野氏の話を聞いた後、2週に渡るグループワークを経て、中間発表を迎える流れとなりました。
また、中間発表は細野氏に対して学生たちが自分たちなりに考えてきたことの”仮説”をぶつけて最終発表へ繋げる重要な意味合いを持つ回となります。
そこで、細野氏に学生たちのグループをそれぞれ回って頂き、各グループが考えてきたことを聞いた上でフィードバックして頂く流れで中間発表が進められました。
学生の中間発表を聞き、フィードバックする細野氏の様子
中間発表では、厳しい内容の指摘を受けるグループが多かったです。
その理由として、今回のテーマ(nanaの利用者を増やすためにどうするか?)に対して、すでに会社として様々な取り組みがなされてきている上に、会社内でも考え尽くされてきているテーマであることから、思い付きレベルのアイデアでは通用しなかったためです。
実際、中間発表での細野氏によるフィードバックを受けて、改めて今回のテーマの難しさを再認識している学生が多かったです。
そして、中間発表が終わり、その後の流れとしては再び2週のグループワークを経て、最終発表へ至る流れとなります。
さらに2週に渡るグループワーク → 最終発表
それでは続いて、2週間に渡るグループワークを経て行われた最終発表の様子をお伝えします。
最終発表は、 細野氏と他の学生たちの前で檀上に立って発表をします。
学生たちによる最終発表の様子
最終発表では、5グループからの発表がありました。
課題解決策の発表に際し、それぞれ着眼点が異なっており、興味深く感じられました。
また、細野氏より「今すぐ使えそうな方策である」とのコメントを得たグループもありました。
また、中間発表でふりだしに戻るほどのグループがあったにも関わらず、そこから各グループが最終発表までしっかり練り上げてきたことに対して、細野氏は全体を通して大いに評価されていました。
これは、実際に教員サイドから見ていても感じたことで、学生たちから教員に対して提出される途中のレポートを見ている中でも、今回のテーマに対してかなり苦悩する学生も見受けられましたが、そういった苦しみも乗り越えて最終発表まで至ることができた点は、教育的にも大きな意味があったと感じています。
企業側にとっても新たな気付き
また、今回、細野氏より興味深いコメントを頂くことができました。
それは、「nanaを利用している人からは(すでに利用者となっているため)客観的な意見は聞きづらいが、nanaを利用したことのない人から意見を聞くことは難しい。そういった中で、今回の取り組みを通してnanaを利用したことない人たちからこれだけ考えた内容を聞くことができて参考になった」というものでした。
これは課題解決型授業という機会があったからこそ実現できたことであるとも言えるため、このようなきっかけを協力頂いた企業に対して提供することができて良かったと感じています。
そして今回、細野氏からはこのようなコメントを頂くことができましたが、引き続きこのように企業側にとっても学生側にとってもウィンウィンの取り組みとできるように今後も続けていきたいと思います。
(文責:授業担当教員 山田祥之)